医療法の改正により2008(平成20)年4月1日から標榜診療科の表記方法に新しく病理診断科、臨床検査科が加わりました。これにより当院では、平成25年4月から従来の検査科にあった生化学・免疫血清・一般、血液、生理、微生物、輸血の各検査室で構成される中央検査部がスタートしました。また、病理・細胞診断部門は2014(平成26)年4月から病理診断科として標榜科となっております。
診療上の特色
当病院の目標「信頼と納得の得られる医療の提供」に沿い、検体検査が患者サービスの向上に貢献することを目的として、患者・家族・臨床医の要望に適うよう迅速、かつ、正確に当科が担当する各種検査の実施・報告を行っていきたいと考えております。この中には診察前検査・診療支援・チーム医療貢献・研究開発も含まれます。この課題を達成するためには、人材・設備・コスト・バランスのとれた組織マネージメントが必要となります。これらの点に留意して、当中央検査部のシステム整備・精度管理に努めてまいります。加えて将来的には各種臨床検査に関して臨床医のコンサルタントとして機能することを目指しております。また、臨床医に対し、エビデンスのある診療に有用な新規検査の情報収集・情報提供・導入検討・フィードバック等を行いながら、新たなニーズ、及び、エビデンスの創出を目指します。
中央検査部運営方針は以下の通りです。
1. ミッション
がんを含めた疾病治療に貢献する検査業務プロフェッショナル集団であること
2. ビジョン
- 高品質高採算を目指した 効率化のためのシステム化推進
- 患者、医師を中心とした各部署からの合理的な要望の実現
- より人間的な領域への業務拡大
- 徹底的な情報公開
- 新しい技術をつくるための 学術研究の推進
中央検査部は中央診療支援部門の一つとして位置づけられます。2交替勤務による24時間体制で緊急検査に対応しています。採血部門・検体検査部門・生体検査部門にわかれており、検査科部長を含めスタッフ31名(嘱託6名、再雇用5名)、業務委託:(株)サンリツ6名、派遣受付1名で構成されています。
医師名 |
役職・職位 |
認定医等 |
専門分野 |
有井 潤子
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検査科部長
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各検査室における業務は以下の通りです。
- 臨床検査の受付・実施・結果報告・記録等の保管
- 臨床検査の精度保証
- 臨床検査にかかる情報提供
- 検査室の設備・機器・試薬の整備、及び、管理
- 検査室の環境整備(安全な作業環境整備、感染管理)
- 臨床検査に関する検査手法の改良・新規検査の導入
- 臨床検査に関する教育(部内・部外における勉強会の開催、他施設からの研修受託)
- 臨床検査に関する院内各部門とのコミュニケーション
- 臨床検査に関する基礎的研究、及び、臨床的研究(学会・研究会での発表や論文作成)
- 臨床検査に関わる保存可能検体の保存・管理
- 検査室の業務改善
- 上記11項目に関する文書管理、並びに、情報の共有・公開、また、中央検査部全体、並びに、病院に対する業務として
- 臨床検査適正化委員会事務局(臨床検査適正化委員会規程に沿う)
- 緊急検査
- 外注検査検体管理、並びに、検査結果の処理
- 輸血管理室業務(輸血検査室、輸血療法委員会規程に沿う)
- 院内感染防止対策(微生物検査室、院内感染対策委員会規程に沿う)
- 栄養サポートチーム支援(NST:生化学・免疫血清・一般検査室、NST委員会、栄養管理委員会規程に沿う)
認定資格一覧 |
人数 |
糖尿病療養指導士 |
4名 |
細胞検査士(国際含む) |
3名 |
超音波検査士(消化器) |
6名
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超音波検査士(循環器) |
4名 |
超音波検査士(体表) |
3名 |
認定輸血検査技師 |
1名 |
救急検査認定技師 |
1名 |
2級臨床検査士(循環生理学) |
3名 |
2級臨床検査士(病理学) |
2名 |
2級臨床検査士(血液) |
2名 |
聴力検査士 |
2名 |
有機溶剤作業主任者 |
1名 |
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者 |
2名 |
JHRS認定心電図専門士 |
1名 |
上級健康食品管理士 |
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NST専門療法士 |
1名 |
骨粗鬆症マネージャー
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1名 |
消化器内視鏡技師 |
1名 |
緊急臨床検査士 |
2名 |
千葉県糖尿病療養指導士 |
7名 |
初級システムアドミニストレーター |
0名 |
検査部では、各部門に分かれてこんな事をしています。
ここで調べたいろいろな検査結果をより早く、医師に報告する事により病気の診断の補助をしています。
内容によって、自動分析装置を使って短時間に多くのことを調べたり、人の手によって一つずつ時間をかけて調べたりします。この他に、看護部と協力して採血業務もおこなっています。
尿一般検査
尿の中に含まれる化学的な物質(タンパク質・糖・ウロビリノーゲン・ビリルビン・潜血など)や有形物質(白血球・赤血球・膀胱や尿管から剥がれ落ちた細胞・細菌・結晶など)を調べます。主に腎臓機能の状態がわかります。その他に便・関節液・腹水(お腹に溜まった水)・胸水(胸に溜まった水)・髄液(脊髄にある水)に含まれる成分も分析しています。
血液検査
大きく分けて血液の中に含まれる固体成分と液体成分に分けて検査します。貧血や感染症、血液疾患があるかどうかがわかります。固体成分(赤血球数・白血球数・血小板など、白血球は更にその種類も分類します)、液体成分(血液の固まりやすさを示す凝固因子など)
生化学検査
血液の液体成分(たんぱく質・血糖・酵素・ホルモン・微量金属など)を調べます。肝臓や膵臓、腎臓機能などの状態や腫瘍の再発、栄養状態などがわかります。
血清検査
肝炎を引き起こすウイルスや性感染症、他のウイルス感染の有無について調べています。
生理機能検査
心電図検査(いろいろな負荷をかけたり、24時間の心臓の動きを見たりします)、呼吸機能検査・脳波検査・超音波検査(腹部・心臓・乳腺)・脈波伝達速度測定・聴力検査などをおこなっています。心臓・動脈や肺機能の状態を見たり、腹部臓器や心臓の形の変化を調べたりしています。
輸血検査
輸血をおこなう前に、患者さんが赤血球に対しての不規則性抗体を持っているかを調べたり、患者さんの血液と輸血に使用する血液を反応させて、輸血による副作用を起こさないよう検査しています。その他に、急を要さない手術に備えて自分の血液を採取しておき、必要時に自分自身にその血液を使用する自己血保存もしています。
細菌検査
感染症を起こしている原因菌を検出し、その菌に対してどの薬を使うのがもっとも有効かを調べたり、ウイルス(インフルエンザ・ロタ・アデノ・RSなど)の感染の有無を調べたりします。
病理検査
病理検査は医療の中で診断の一部を担当しています。手術や内視鏡で採取される患者さんの一部を顕微鏡で観察する事で病理診断し、患者さんの治療に役立てます。
糖尿病療養指導
血糖自己測定を中心に、個人指導(随時)、教室による指導(月2回)を行っています。平成24年4月より、糖尿病腎症透析予防指導が始まり、初回の患者さんに対して検査データの説明を行っています。
感染対策チーム
週1回病棟巡回、感染対策委員会に参加し感染情報を発信しています。
栄養サポートチーム
血液検査データより蛋白の1種であるアルブミンのデータを抽出して、患者さんの栄養管理の補助を行っています。病棟巡回にも定期的に参加しています。